いちごいちえ




「瑠衣もなかなか似合ってるだろう?」



「祐にぃ…やめて恥ずかしい」



「ふん。まあまあね!!祐二には負けるに決まってんじゃん」



「……そーですね」




瑠衣斗は祐二さんと由良さんの言葉に、なんとも言い難い表情をしながらも、なんだか楽しそうだ。



そんな様子にようやく余裕が出てきて、自然と笑みが浮かんだ。



瑠衣斗との初めてのお祭り。



気持ちがふわふわと高ぶるのを感じる私は、予想以上に浮かれ立っているのかもしれない。



なんだか特別な日を迎えたようで、そわそわしてしまうんだ。



「んじゃあ…もも、行くか」



「うん」




そのまま手を差し伸べられ、自然と手を重ねた。


少ししっとりとした瑠衣斗の手が、優しく私の手を握り込む。


余裕で包まれてしまうほど大きくて、私とは違うゴツゴツした感触に胸がギュッとする。



「はーくんもいくー!!ももといくのー!!」



「隼人〜。ママ達と一緒に行ってくれないの〜?」



拗ねたように愚図りだしてしまった隼人君を、由良さんが寂しそうな顔をして覗き込む。


わざとそんな顔をして隼人君を宥めている由良さんは、私と瑠衣斗と2人きりで行かせてくれるようだ。



由良さんの気遣いが照れ臭くて、思わずチラリと瑠衣斗を見上げる。



瑠衣斗も同じ事を思ったようで、少し困ったような笑顔を浮かべていた。



そしてそのまま、ふぅと息をつくと、ゆっくりと体を折ってかがめ、隼人君を覗き込んだ。



「隼人、俺をお祭りで見付けたら、好きなモン買ってやる。だから、かくれんぼしよう」
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