いちごいちえ
励まそうとしたワケではない。
純粋に、ただそう思った。
少し驚いたように瞬きをした瑠衣斗は、私をじっと見据えるとふわりと笑う。
人はこんなにも変われるんだ。
私も、るぅも……。
アルバムには載っていない瑠衣斗の笑顔を、なんだか私一人が独り占めしているような気になってしまう。
瑠衣斗と付き合う事になったあの日にあった、飲み会と称した宴会?では、みんなが口々に瑠衣斗に対して同じ事を言っていた。
あの瑠衣がね…って。
その理由が、なんとなく分かった気がした。
確かに瑠衣斗が思い切り笑うイメージって、出会った頃はあまりなかったかも。
でもそれが、付き合いが長くなるにつれてか、こうして付き合うようになってからか…は定かではないが、今では普通にたくさん笑って私を癒してくれている。
そしてそんな私も、たくさん笑うようになったと、自分でも思うから。
「…なら、ありがたくいただいとかないとな」
「そうだね」
瑠衣斗が優しく言うので、自然と笑みが零れる。
瑠衣斗が居るから、私は笑える。
瑠衣斗が笑うから、私も笑える。
そばに居る事で、るぅが笑うなら…私はいつまでもそばに居たい。
胸に抱えた物は、計り知れない程大きいけれど、1人で抱えるよりも2人の方が軽くなるから。
辛い事は2人ではんぶんこすれば、半分小さくなる。幸せは2人ではんぶんこすれば、二倍になる。
そんな事を、瑠衣斗は私に教えてくれたんだ。