いちごいちえ
「…かくれんぼ?」
「そう。かくれんぼだ」
瑠衣斗の言葉にポカンとしていた隼人君が、意味が分かった途端、ぱあっと表情を変えた。
「かくれんぼする!!きょーそーね!!」
「競争…?かどうかは分かんねーけど…」
優しく隼人君に笑いかける瑠衣斗に、こっちまでつられてしまう。
本当にるぅは子供の扱いが上手いと言うか、何と言うか…。
今まで知らなかった瑠衣斗を、ここに来てたくさん知った。
いつもは口数も少なくて、ポーカーフェイスのような瑠衣斗の、本当の部分での笑顔もたくさん見てきた気もする。
こんなにも優しい笑顔をするなんて、ここに来なきゃ知らないままだったかも。
「本当に?じゃあ張り切って見付け出さなきゃね。何回戦?」
「何回戦って…俺をたかるつもりかよ」
すっかりやる気の隼人君と由良さんに若干押されながらも、楽しそうな笑顔にときめいてしまう。
こんな無防備な笑顔を見せられたら、ますます瑠衣斗にはまっていくしかないのに。
今更ながら、瑠衣斗と本当に付き合ってる事が不思議に思えてくる。
付き合ってなければ、きっとこんな笑顔も見れなかった。
私には、見せてもいいって思ってくれてるのかな?
そう思うと、大切にされてるんだなとも思える。
私はまだまだ瑠衣斗には遠慮ばかりしてるのかな。
こんなにも瑠衣斗は私に対して素で接してくれているのに、私はまだまだ素になりきれてない。
もっと私を知ってほしい。
そんな事を思っていた。