いちごいちえ
「隼人君、おはよう」
駆け寄ってきた隼人君に、目線を合わせるようにしてしゃがみ込む。
ぱあっと明るい笑顔に、釣られるようにして笑顔になる。
こう言う無垢な笑顔に、すっかり私は骨抜きだ。
「おはよ、もも!!はいるぅ、おはなだよ!!」
「ありがとな。今日はお手伝いしてるのか?」
「うん!!お手伝いしたら、ママがよねちゃんのところにあそびにいっていいって!!」
瑠衣斗が隼人君から花束を受け取りながら、私と同じようにしゃがみ込む。
嬉しそうにそう言った隼人君の頭を撫でながら、瑠衣斗は優しい笑みを浮かべた。
「牛さんに会いに行くの?」
「うん!!はーくんだいちゃんとよねちゃんの牛さんみにいくんだよ」
「そっかあ、楽しみだね。お手伝い頑張らなきゃね」
隼人君の嬉しそうな言葉に、周りのお客さんまでもが優しい微笑みを浮かべる。
こうして町のみんなが子供を大切にする事に、胸が暖かくなる。
きっとるぅも、こうやってここで育ったんだね。
「帰る前に会ってくのか」
「ああ、コイツ紹介してかねえとな」
ヨネさんの言葉に頷いた瑠衣斗が、優しく私を見つめる。
昨日言っていた、瑠衣斗のケジメ。
私を紹介するって、一体誰にだろう……。
それによってケジメが付く相手って、一体……。
一抹の不安が募りはするが、瑠衣斗があまりにも優しく笑うので、私は気にしないふりをした。