いちごいちえ
なんだろう…?
そう思って見つめていると、由良さんが隼人君の横にしゃがみ込む。
尚も恥ずかしそうにしていた隼人君が、ズボンのポケットに手を入れると、少し皺が付いてしまった小さな便箋が出てきた。
「ほら隼人。昨日一生懸命パパと書いたんでしょう?」
「…うん……。はい、もも」
小さな手からそっと差し出されたソレを、私は驚いたまま受け取る。
小さな便箋だと思っていたソレは、どうやらポストカード程の大きさで、不器用な字で隼人君の名前が書かれてある。
手触りからすると、中に他にも入っていて、思わず隼人君を見た。
「中、見てもいい?」
「うん」
小さな声で頷いた隼人君を確認し、そっと中を覗き込む。
そのまま手のひらに出してみて、思わず目を見開いた。
「うわぁ…これ、隼人君が作ったの?」
中から出てきた物は、少し形が歪な、手作りのミサンガだった。
ピンクと青の糸で編まれたミサンガは、細くて歪だが、隼人君の気持ちが何よりも嬉しい。
「切れたらね、おねがいごとがかなうんだよ。はーくんとね、けっこんできますようにってママとつくったの!!」
「そうなんだ…ありがとう隼人君。すっごく嬉しい!!」
目線を合わせて屈み込んで、隼人君の頭を撫でる。
とびっきりの笑顔を浮かべた隼人君も嬉しそうで、素直に私まで笑顔になれた。
思ってもみなかったプレゼントに、涙を堪えるのに精一杯だ。
「おてがみはね、いまよんだらダメだよ!!」
「え?なんで?」
「…はずかしいから!!」
……恥ずかしい?
そんな事を言う隼人君が可愛くて、思わず隼人君を抱き締めた。