いちごいちえ
私にとって、ここでの出来事は一生忘れる事のない思い出だ。
そして、大切なかけがえのない場所にもなった。
また一緒に……未来へと続く言葉に、私は頬が自然と緩む。
ここに来るまで、不安でいっぱいで瑠衣斗の気持ちが分からず、胸が焦げるようだった。
でも、今は違う。
手を伸ばせばすぐ届く距離に、瑠衣斗は居る。
届きそうで届かない距離だった瑠衣斗が、今はすぐそばに居てくれるんだ。
「よそ見してる暇なんてないからな。俺だけ見てろよな」
「…うん」
「なんかやっぱり……まだ片思いしてるみてえ……」
呟かれた言葉に、嬉しくて笑ってしまう。
そんな私を怪訝そうに瑠衣斗は見たが、そんな顔にすら幸せを感じる。
ずっと、るぅと一緒にいたいな。
こうやって、2人で一緒に。
車は進み、気が付くと何時の間にか山を登りだしている。
目的地は分からないままだったが、不思議と不安はなかった。
誰に紹介されるのか、瑠衣斗のケジメが何なのか。
やっぱりそれは分からないままだけれど、瑠衣斗の気持ちを聞けた私は、不思議と穏やかな気持ちで居た。
町からそんなに離れていない内から脇道にそれて山を少し登ると、きちんと整備された開けた場所に出たのだった。