【短】放課後、人魚が泳ぐ
「また後でね〜」

胸の前で小さく手を振る魚住は可愛いかった。


「宏太…顔赤い。魚住さんに惚れた?」


「はっ!?まさか!!

魚住は他の女子とは違うけど、好きとかそんなんじゃ…」


「ん〜…。お前鈍感なんだな。」

そう言い残して笑いながら去っていく。


「俺鈍感じゃねぇよ!!」

そう叫ぶものの…奴は立ち止まらず…。


「はぁ〜」

力無く自分の席に座った。


ふと魚住の方を向く。


髪を耳にかける仕草、

真剣に読む表情…


全てが、「なんかいいな…」と思えたんだ。
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