【短】放課後、人魚が泳ぐ
放課後…

何だか魚住がルンルンしてる。

「海野君、私、泳ぎに行ってくるね♪」

耳元でそう囁いた。


「だからそんなに嬉しそうなのかぁ…

お前、泳ぐ時の水音大きいから気を付けろよ?」


「うんわかった!!行ってきまーす!!」

魚住は走って屋上に向かった。

《本当にわかってんのかな…》

不安に思いつつ俺は部活に向かう。


部活中に耳を澄ますが、水音は聞こえなかった。

《ちゃんと守ってるんだな…》

そう思うと頬が緩む。


俺はこの時、自分自身の心の変化から目を背けていた。
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