【短】放課後、人魚が泳ぐ
俺は魚住を追いかけるように海に入った。

「やめてくれよ!!せめて、俺の記憶だけは…!!」


「あなたがもし口を滑らせて、人魚の存在を漏らしてしまったら一大事です。」


「絶対誰にも言わない!!だから…」

俺はどんどん海に入る。魚住は使いの人の隣に並んで目を伏せていた。

「いいえ。1人残さず、記憶は消します。」


「お願いだ!!やめてくれ!!魚住は……姫香は……俺にとって大切な人なんだ!!他の奴らとは違うんだよぉ!!」


そう叫ぶと唇に柔らかいものが触れた。

目の前には、さっきまで使いの人の隣にいたはずの魚住…。
< 29 / 34 >

この作品をシェア

pagetop