【短】放課後、人魚が泳ぐ
「姫様!?人間にキスなど…!!」

魚住は俺の頬に触れる。

「あなたから…最後にその言葉を聞けてよかった…!!

あなたに最後に名前を呼んでもらえてよかった…!!」

涙を流しながら笑う魚住…。


「『最後』とか…言わないでくれよ…!!」


「あなたは私のことを忘れるでしょうけど、私は絶対に忘れません…!!」

魚住はそう言って俺から離れていった。


「魚ず…姫香!!姫香!!行くなよ!!」


「姫様…よろしいですね?」


「ええ…」


「姫香ぁ!!」


「では……」


そう言って手を上にあげる。


……俺の記憶は、そこで途絶えた。
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