【短】放課後、人魚が泳ぐ
「海ぃ!?何で海なんかに…」


「気づいたら海にいたって言ってるだろ?俺にもわからないんだって!!」


笑いながら席に戻る。



机の上には、きれいなブレスレットがあった。


「ん?宏太、何それ?」


「………」

ツウッと温かい物が頬をつたるのがわかる。


「お前、何泣いてんだよ!?」


「あ……なんか、このブレスレットが…懐かしくて…」


「これお前の?」


「いや。けど……懐かしくて…暖かい……。」

俺は力無くその場に崩れて、声を殺しながら泣いた。

何か大切なものを無くしてしまった子供のように。


*end*
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