ぶす☆カノ
今の時間は、学生が多い。まあ、次の次あたりのが私たちの高校の人は、多いかな。
私は、内山さんが電車の奥に行ったのを確認してから、入ってすぐのとこに、立っていた。
ぼーっと、どんどん入ってくる人を、眺めながら鞄から本を取り出そうと、鞄を前にずらす。
「…なんでそんなに、離れる」
「…え?」
鞄が指から離れそうになり、慌てて抱え直した。
目の前には内山さんの、しっかりした胸。
ゆっくり視線を上に上げて行くと、いつも通りの不機嫌そうな顔があった。
「……内山さんが最初に3メートル離れてって言った」
「面倒なやつ」
それだけ言い残し、私の目の前からは離れないけど、視線を外に向けた。
私はそれを眺めながら、慌てて鞄から本を取り出し、本に視線を向けた。