ぶす☆カノ


「うっ…、っ…」



我慢しようとしても、嗚咽が漏れる。

でも、周りには誰もいないし、ちょっとくらい大丈夫だよね?



私は私が嫌いだ。

ブスで可愛くない私が。嫌いって思う自分も嫌い。

そして、嫌い嫌いって思ううちに、自分がわからなくなる。見失ってしまう。



いろんな自分への、黒くて、嫌な気持ちが溢れて、止められなくなる。

その度、私は1人で泣いた。静かに、誰にも知られることはなく。



弱い自分をさらけ出すことは、怖いことに感じるから。



「……、おい」



不意に名前を呼ばれ、私はごしごし目を擦った。

よく知っている声、さっきも聞いていた声だ。



「隣、座るから」



私は唇をぎゅっと閉めて、俯いていた。

弱いとこを見せる訳にはいかない。



「俺、お前からメールの返信こなくて、お前探して歩いてた。

嘘の関係だけど、クラスも知らなかったからな」



私は黙っていた。

……でも、しっかり彼の言葉には耳を傾けた。



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