ぶす☆カノ
「今度、私がジュース買ったげる」
借りっぱなしは、私好きじゃないから。
そう言い残して、私は教室に向かった。
帰る途中のゴミ箱に、空き缶は捨てた。
カラン、いい音が鳴って、ゴミ箱の中のたくさんある缶のひとつに混じってしまった。
もう、あのオレンジジュースは、ただのゴミだ。
教室に戻ると、さあちゃんがニヤニヤしていた。
……最近さあちゃんのニヤニヤ、よく見る気がする。
私は自分の席に、かたっと音をたてて座った。
「あいこ、あたし2人で仲良くベンチいるとこ見ちゃった」
「へぇー……、えっ?」
流すとこだった。
まさか、見られてたの?
泣いてるとこは……
「……なんかさみしかった。なんてねっ?」
さあちゃんの笑顔が、無理してるように見えて、私自身、辛くなったのは気のせいじゃないだろう。
「……もしかしたら、内山くんなら、あいこは幸せになれるかもね」
「え?」
「自分が自分でいるってのは、難しいし、相手に思いを伝えるのとか、自分を見せることできる相手なんか、あんまいないよ?」
さあちゃんの言葉が、私の心に響いた。
ずっと何回もリピートして……消えていく。
私たちは、1ヶ月限定。