ぶす☆カノ


相変わらず俯く拓真の頭を、ぺしっと叩く。



「男だろっ。俯くな!」

「は、はい!」

「パン屋さん行くぞ」

「は、はい……?」



私は拓真の斜め前を、歩いていった。

拓真は焦って私の隣に並んだ。



……昔は毎日、遊んでたんだよね。

公園で、暗くなるまでずっと。



拓真は小さい頃、弱っちくて、私はよく、いじめっこから助けた。



私がいつも前を歩いて、拓真は後ろをとことこついてきた。

今は昔よりは頼りになる存在になったと……信じてるよ。



その日は、大好きなメロンパンを買い、拓真はあんパンを買った。

パン屋のおばさん、おじさんと他愛もない話をして、また拓真と並んで帰った。

< 41 / 50 >

この作品をシェア

pagetop