ぶす☆カノ
相変わらず俯く拓真の頭を、ぺしっと叩く。
「男だろっ。俯くな!」
「は、はい!」
「パン屋さん行くぞ」
「は、はい……?」
私は拓真の斜め前を、歩いていった。
拓真は焦って私の隣に並んだ。
……昔は毎日、遊んでたんだよね。
公園で、暗くなるまでずっと。
拓真は小さい頃、弱っちくて、私はよく、いじめっこから助けた。
私がいつも前を歩いて、拓真は後ろをとことこついてきた。
今は昔よりは頼りになる存在になったと……信じてるよ。
その日は、大好きなメロンパンを買い、拓真はあんパンを買った。
パン屋のおばさん、おじさんと他愛もない話をして、また拓真と並んで帰った。