ぶす☆カノ

「ったく…」



私はクルッと背中を向けた。



「まあ、嫌なら嫌でいいから」

「……よ」

「え?」

「だから、俺、お前と付き合うから。…でも」



私は振り返り、彼を見た。俯いて、手を握りしめている。

…すぐ、別れなきゃ。

そんなことを考えながら、少し胸が痛い。



「付き合うこと、あんま言いふらすな」

「うん。1ヶ月だけ」

「あれだ、お前が俺に飽きればすぐ終わり」



にっと笑う彼。やっと笑った。

よかった。

今さらだけど、そんな悲しそうな内山さんを見てたら、罪悪感も覚えるよ。

子犬みたいだもん。





私たちは、期間限定の嘘の恋人どうしになった。



< 6 / 50 >

この作品をシェア

pagetop