ぶす☆カノ
「ったく…」
私はクルッと背中を向けた。
「まあ、嫌なら嫌でいいから」
「……よ」
「え?」
「だから、俺、お前と付き合うから。…でも」
私は振り返り、彼を見た。俯いて、手を握りしめている。
…すぐ、別れなきゃ。
そんなことを考えながら、少し胸が痛い。
「付き合うこと、あんま言いふらすな」
「うん。1ヶ月だけ」
「あれだ、お前が俺に飽きればすぐ終わり」
にっと笑う彼。やっと笑った。
よかった。
今さらだけど、そんな悲しそうな内山さんを見てたら、罪悪感も覚えるよ。
子犬みたいだもん。
私たちは、期間限定の嘘の恋人どうしになった。