ぶす☆カノ


既にランニングが始まり、私は焦ってドリンクを持って行く。



8月はさすが暑い。氷をたくさん入れたいとこだが、他の部も使う訳で。

氷争奪戦負けた私。今日は氷少なめ。



カラカラと涼しげな音を鳴らしていたドリンクは、もうほとんど氷が溶けてしまい、音も聞こえない。



よっこらしょ、おばあちゃんみないな台詞を言いながら、ドリンクを置いた。

ボールかごの近くに置いていた、日誌を手に取り、出席確認と練習メニューを記入していく。



一応しっかり仕事はしている。

3年生マネージャーが引退し、最初はあたふたしていた私だったが、最近はちゃんと出来るようになってきたのだ。



「マネージャー、絆創膏ある?」

「あ、あります」



ポケットから絆創膏を取りだし、はい、と渡す。



この部には絆創膏は必需品。外での練習の時は特に。見事に倒れ込み、転がる皆さんですからね。

絆創膏の消費量半端ない…。



今回も、見れば砂でジャージ茶色くなってる。

腕を怪我したらしい。

痛そうで、凝視できない私…



「ありがとう」



そう言いながら、練習に戻って行った。

私は軽く頭を下げる。





ハンドボールの練習を見ていると、いろいろ……思い出すんだ。



初めての恋のこと。



あの日初めて会って、あの、ちゃん記憶には残っていない……あの人。


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