嘘とビターとブラックコーヒー 【短編】
どこにいるんだろ?
走り続けていた足をぴたりと止め、私は顔を顰めて唸った。
目撃情報も全くないため、本当に見当が付かない。
『(…………2人が行きそうな、場所…)』
バラバラでいることも考えたけど、それは一先ず却下した。
いくつも案があったんじゃ、纏めようがない。
しらみつぶしに全ての教室を回ろうか、と諦めかけた瞬間。
―――ふと、閃いた。
『あそこかも…!』
そうと決めたら、当てがあるところに行くしかない。
私はくるりと踵を返し、思い当たる場所へと急いだ。
放課後とはいえ廊下には疎らながらも生徒がいて、じろじろと見られているのがわかった。
確かに廊下を疾走していたら、おかしな子に見えるかもしれないけど。
普段なら恥ずかしくて、こんなこと絶対にできないんだけど。
一歩踏み出す度に募る確信が、私を強くしてくれる気がした。