Liar
もう一度美しい彼女の寝顔を盗み見る。
穹をあんな輩に渡すのは惜しい。
だけど、今はしばしの我慢だ。
あぁ、アイツの手が穹に触れてゆっくりと料理をするように命を消す。
腸が煮えくりかえるような思いだが、仕方ない。
彼女を手に入れるにはその方法しかないのだ。
そうと決まれば善は急げ。
……否、悪は急げ、とでも言っておこうか。
何しろこれからしようとしている行為は、間違っても『善』とは言い難い。