Liar
笑いをこらえながら続ける。
「傷物にはしないさ。それは僕の美徳に反する」
『能書きはいい。早く穹を返せ。殺すぞ』
殺す、か。
彼が言うと冗談にならないから怖い。
だが、少し冷静に話を進めたい僕としては感情は邪魔でしかない。
「少し落ち着いたらどうだ?今の君はまるで玩具を横取りされた子供だ」
小さく笑いながら言うと、彼は少し冷静さを取り戻したようだ。
しかし怒りは収まらないらしく、電話の向こうで何かが壊れる音がした。