Liar





音の出所を探して視線を巡らせると、窓際に立つ藍の姿を見つけた。




「あ、「はーい、ストップね」




「!」




後ろから抱きしめるような形で雨水に押さえつけられる。




慌ててもがくが、男の強靭な腕から逃げ出すことはできない。




「遅いじゃないか、藍。待ちくたびれて危うく傷物にするところだったよ」




茶化すような雨水の言葉にも藍は全く反応を示さない。




彼の周りだけ時間が止まったようにすら見えてくる。




「どうした?君らしくないな。こんな小さな少女一人に動けなくなるなんて」




挑発は続く。




だけどやっぱり藍は微動だにしない。




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