Liar
混乱する思考を隅に追いやり、二人の対峙を見つめる。
するとそこでやっと、藍が口を開いた。
「……選択肢はその二つだけか?」
「あぁ」
「ふーん。お前は穹を殺せないんじゃないのか」
「自分の美学のためならやむを得ないさ」
「矮小な美学だな」
「他人から見れば無価値なものも、本人からしてみれば重要文化財並みの価値があるかもしれない」
「俺から見ればお前は壊れた玩具を大事そうに抱えてるガキにしか見えないけどな」
「……僕を侮辱するのか、貴様のような腐ったクズが」
「腐ってるのはお前だ、雨水」