Liar





「藍が好きだったのは雪」




「―――! 穹……」




「雨水だって、私が雪の娘だったから保護してくれた」




「…………」




全部、わかっていた。




なんとなくだけど、自分の父親が最低な人間だってことも。




「……そうだよ。先生は、アイツに騙されたんだ」




「アイツ……?」




最初に口火を切ったのは雨水だった。




自嘲に似た笑みを浮かべ、私の顔に映るあの人の面影を愛おしそうに見つめる。




< 136 / 176 >

この作品をシェア

pagetop