Liar




なんとか娘の穹を守ろうと考えた彼女は、鍵が掛けられる地下室に娘を閉じ込め、鍵を呑みこんだ。




これで誰も地下室に入ることはできなくなり、目論見通り夫は穹を殺せなかった。




だから代わりに先生が殺された。




二人で寄り添うように死んでいたらしい。




そうして1年にわたる監禁事件は幕を閉じた。




しかし、悲劇は続いていたのだ。




先生は娘を愛するあまり、彼女を自分だけのものにしようとした。




国のものでも誰のものでもなく、私のもの。




だから娘には国籍も、戸籍もいらない。




そんな歪んだ愛から生まれたのが『霜月 穹』だった―――。




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