Liar
「だって君は穹だ。雪じゃない。どう足掻いたって先生のようにはなれない」
徐々に雨水の瞳に憎悪が灯っていくのがわかる。
雨水は最初から私の中にママなんて見ていない。
いや、最初は純粋にママを想っていたのかもしれない。
だけど今の雨水は……
「君には僕から先生を奪った男の血が流れているからね」
私の中に流れる殺人犯を見ている。
雨水は床に落ちているナイフを拾い上げ、ニコリと笑った。
楽しそうに、悲しそうに、嬉しそうに、悔しそうに。
そんな感情の入り混じった、道化の笑み。