Liar
「……ら、穹……穹!」
「―――え……」
目を覚ますと、そこには心配そうに眉を下げた優がいた。
混乱する頭を抱えて周りを見渡すと、どうやらここは優の部屋らしい。
「どうして、」
「知らない男が連れてきたんだ。もう面倒を見れなくなったから、って」
「え……?」
「黒髪の変な男だったよ。もうすぐ夏だってのに真っ黒なコート着て」
黒髪、コート。
その言葉を聞いた瞬間、ある人物が頭に浮かんだ。
―――藍。