Liar






「―――雨水……?」




職員室のソファーに座っている長身の男。




私は彼を知っている。




というよりは、忌み嫌っている。




先に話した“尊敬できるが嫌いなあの人”である。




彼は私に気付いたのか、驚いたように目を丸くした。




「あれ、穹の学校ってここだったのか」




「……どうしてあなたがここに」




「アメリカから帰ってきたんだよ。明日からここで臨時に講師をすることになった」




そう言って微笑む彼の名は『如月 雨水(キサラギ ウスイ)』。




私の腐れ縁、または幼なじみと称してもいい。




そして最も忌避すべき人物でもある。





< 45 / 176 >

この作品をシェア

pagetop