Liar
「―――雨水……?」
職員室のソファーに座っている長身の男。
私は彼を知っている。
というよりは、忌み嫌っている。
先に話した“尊敬できるが嫌いなあの人”である。
彼は私に気付いたのか、驚いたように目を丸くした。
「あれ、穹の学校ってここだったのか」
「……どうしてあなたがここに」
「アメリカから帰ってきたんだよ。明日からここで臨時に講師をすることになった」
そう言って微笑む彼の名は『如月 雨水(キサラギ ウスイ)』。
私の腐れ縁、または幼なじみと称してもいい。
そして最も忌避すべき人物でもある。