Liar





たまに運ばれてくる食料と水で生きながらえる。




その間にも、ママに会うことは一度もなかった。




もしかしたら私はママに捨てられたのかもしれない。




そんな考えが何度も頭をよぎった。




死んだ方がマシだと思えるほど苦しい毎日だった。




それでも私は生きていた。




死ぬことなんてできないし、希望を捨て去ることもできなかったから。




前向きな『もしかしたら』と後ろ向きな『もしかしたら』が交差する。




“もしかしたら”明日にはママが迎え来るかもしれない。




でも、“もしかしたら”その前に死んでしまうかもしれない。




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