心の薔薇.
けど、急ぐとバランスが崩れちまうからな。
…俺の集中を崩さないためか、俺の後ろでリリアは静かにしていた。
前には別の壁があった。
きっと、前にきた奴も追われてんだろう。
いや…もしかしたら、追われてねぇかもしれねぇが…。
俺は、足先を見ながら進んでいた。
足の幅の感覚も、徐々につかめてきた。
下は…50メートルくれぇ離れてた。
見たくなくても、どうしても見えてきちまっていた。
けど、プレッシャーとかそんなのにはならなかった。
なぜか俺の心は落ち着いていた。
理由はきっと一つだ…。
“一人じゃねぇから。”
< 98 / 154 >

この作品をシェア

pagetop