素直になること
「おかえりぃ。」
おばあちゃんが顔いっぱいの笑みでこちらを見ていた。
あたしは笑顔で返した。
お母さんはあたしに「おかえり」の「お」の字も伝えてはこない。
お母さんは座布団の上に座って新聞を読んでいた。
あたしは無言でお母さんの隣を通りすぎる。
あたしがかえって来たのだが、特にこちらを気にしている様子はなく、あたしの存在に気付いているのかさえよく分からなかった。
事実、あたしはお母さんの事があまり好きでは無かった。
あたしはこれまでいじめられていたことをなんど訴えようとしたことか。
その度、話は毎回毎回流される。
そんな母親など頼りにできるわけなどない。
別に初めから期待していた訳ではないけれど。