余命2年の少女の恋
「あ・・・でも、此処、2階だよ?
 どうして、秋田君は・・・」

「ん~? 嗚呼、それな。
 此処、見れば判るけど♪」

少し、怖がりながらもベランダの壁から下を除く。
すると・・・


「はし、ご・・・?」
「そ、梯子♪
 俺さ、ちっさいころから色んなとこ、
 それで上ってたんだよ。
 それで、此処も上れるかな、
 って上ったら、病室だったわけよ。」

「はぁ...」





「じゃ、行こっか」
「え、何処へ?」

「・・・・・・・・決まってんじゃん。
 旅、だよッ!!」


すると、龍はベランダの壁を軽がると越え、
梯子を使い、下へ降りた。

「ほら、来いよッ!!」

下で、そう言ってるのが聞こえた。

でも、私は行けない――・・・
だって、怖いから。


ソト が。
死ぬのが。


「大丈夫!! 俺が、 俺が受け止めてやるから―――!!!!」

その言葉と同時に、私は壁を越えた。
やってみると、少し恐怖が無くなった。

今、吹いていった風と同時に...


そして、ゆっくり、
ゆっくりと梯子を降りる途中――・・・


梯子が風に吹かれて、
倒れそうになった。



「――――――!!」



薫は、一瞬声を失った。
落下するから、このままだと。


宙を浮いている、軽い身体の薫を、
龍は地で受け止めた。


その光景は、まるで宇宙、ソラから落ちてきた天使を、
地上の人間が受け止める、感動の瞬間のようだった。

「だ――大丈夫・・・?
 薫?  薫?」

龍は焦った。
何故なら、薫が涙を流していたから。


「だぁ・・・っ・・・
 大丈夫、です――・・・
 痛く、ないのに・・・涙が、出ちゃうんです――
 とめられない、です・・・・」

そう、薫は必死に龍に伝えた。
勿論、龍には伝わった。

すると、龍はゆっくり、優しく微笑んだ。
そして、薫も少しずつ涙が減り、最後には微笑んだ。

檻に囚われていた天使を、地上の人間は救い出した。


さぁ、今から旅に出る。
人間と天使、格は違う、
だが、どちらも心と言う名の羽を持つ。
それが、ただ1つの共通点だった。
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