1/2の世界で、君と。
バクバクと尋常じゃないほど
心臓が鳴っている。
夏でもないのに、シャーペンを
握り締める手に汗をかいている
のがわかる。


なんで…どうしてみんな
みえないの?
どうして知らん顔するの?

そのお兄さんに、例えば足がないとか
体が透けてるだとか、幽霊特有の
外見だったら、今きっとぶっ倒れてる。
だけど私たち人間と何ひとつ
変わらない外見だから、余計に混乱してしまう。



「どうしたの、皐月大丈夫?」

隣の席の子が、明らかに様子
がおかしい私をのぞきこむようにして
声をかけてきた。


…そうだ、わかった。
これは大掛かりなドッキリなんだ。
…きっとそうだ、皆私を騙そう
としているんだ。
今もこの子だって、心のなかで私を
あざ笑っているんだ。


そう思ったら(思い込んだら)
ふつふつと怒りがわいてきた。
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