いつまでも君を見ている
今の言葉は、窓の外の雨にかきけされ、聞こえなかった。

雨……降ってたんだ。

ボーッと窓の外を見る。

「……東京、地検?」

手紙が見えたのだろう。

地検の名を口にした。

「うん、そうなの。裁判の証人に、って……。伊勢谷も証人として呼ばれてるんでしょ?」

「ああ、まぁ……」

伊勢谷の視線に気づく。

その瞳は、大丈夫なのか、と言いそうだ。

「大丈夫だよ」

私は、目を細めた。

まぶしい……。

雨は降ってるから太陽は出てないはずなのに……。

「あ、虹……」

伊勢谷が窓に視線を移す。

たしかに、虹があった。

……だから、まぶしかったのか。

でも、なんか、伊勢谷が輝いていたきがした……。

気のせいかな。
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