麗しの恋敵
《side 紫苑》
一ノ瀬と優希が出て行って私と秋山だけが残った。
静かな教室。
さっきまでの煩さはどこへ行ったのかと考えてしまう。
「…秋山。そんなに自分追いつめて何がしたいの」
静かすぎるこの時間が耐えられなくなった私は今まで思って来たことを秋山にぶつけた。
「…え?何言ってんの?オレは「天然を演じるのって大変だよね」
「……」
私の言葉に声を失う秋山。
前から知っていた。
秋山は天然じゃないってこと。
中学の時の秋山を知っている私には信じ難い事だった。
秋山が天然だなんて。
―――有り得ない。