麗しの恋敵




――泣きたい






そう思っても泣かない。



そうじゃない。



泣けないんだ。




秋山君の事を考えたら、泣きそうでも涙なんて流れなかった。



それ以上に胸が苦しくて。



ちゃんと息をすることで精一杯だった。





「…優希ちゃん?」




近くから声がした。



いつも通りの優しい声。



大好きな秋山君の声。



秋山君の登場によって周りはざわめきだす。




「秋山君…」




このまま何も見ないで欲しい。



頭の中で何度も秋山君の傷付いた顔を思い浮かべてしまう。



実際に彼の傷付いた顔なんて見たくない。



どうか気付かないで。



何度もそう思ってしまう。



私でもショックを受けたのに秋山君本人はきっとすごく辛いだろうから。






 
 
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