メルト・イリュージョン


私は息を殺し、ソファ横に置かれたローテーブルにそっと視線を移す。

具体的には、その上に置かれた一台のノートパソコン。

無機質なメタリックシルバーのデザインが冴えるそれに手を触れ、かたく閉じられている蓋をゆっくりと開けた。


すると、すぐにブルー画面が現れて、スリープ状態から起動する。

ブラインドの隙間から入り込む細い陽の光だけが光源の暗闇で、その液晶画面の明るさは、予想以上に私の眼を射った。


瞳孔が小さく収縮するのに合わせて、私も目を細める。


傍らの彼が目を覚ましはしないかと内心ヒヤヒヤしながら、目的のフォルダを探す。

タッチパッドでカーソルを合わせ、クリックすると、すぐにパスワードの入力画面が現れた。


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