メルト・イリュージョン


そして、再び彼に視線を戻すと、その爛々とした光を秘めたビードロの輝きが、真っ直ぐに私を捕えていた。

今まで暗闇だった事を忘れていたくらい、その瞳には力があった。


「あ…やっぱり、違う猫だった」

無感動に小さくそう呟いて、次の瞬間にはもう興味をなくしたように、私から視線を逸らす。


───猫。

彼がそう称するものは、この世に二つだけある。


一つは、本物の猫。

そして、もう一つは……


「今度の猫は、ロシアンブルーみたいだ」


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