メルト・イリュージョン
内部は、深い闇に包まれていた。
閉ざされたブラインドの隙間から差し込む木漏れ日のような細い光の線が、漂う埃を浮かび上がらせ、何とも言えない幻想的な空間に仕上げていた。
「……すみません…誰も…」
いないのか、と声を上げかけて、私はそこでやっと暗闇に目が慣れていき、室内のあまりの荒れぶりに絶句する。
床には、色とりどりの透明なガラス瓶が転がっていて、爪先で少し蹴ると中からカラカラと乾いた音がして、ビー玉の存在を確認した。
「……ラムネ…瓶…?」
よくよく目を凝らして見ると、周りには他にもゼリービーンズの空袋だったり、チョコレートの包み紙なんかが無造作に散らばっている。
そう言えば……確か、彼はこう言った子供みたいなお菓子が大好物だったはずだ。