ため息に、哀

終業式の途中。


校長の長ったらしい話を聞いている最中、どこからか悲鳴のようなものが聞こえてきた。

ざわめきが、どんどん広がっていく。

なにが起きたかわからないままに、混乱だけが伝播する。


二年生の方で、なにかがあったらしい。

列を乱して背伸びをしているその間から見えたのは。

真っ青を通り越して、土気色をした顔をした女子生徒が、教師に抱きかかえられるようにして体育館を後にする姿だった。



見間違えるはずもない

それはまぎれもなく、高橋先輩だった。



ずっと休んでいたのは、体調が悪かったから?

今朝のあの状態も、無理をおして登校したから?


だとしたら、俺はどうして声をかけなかったんだろう。


いつもと違うことに。

つらそうなことに。

気づいていたのに。


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