ため息に、哀
結局俺はなにもできないままだった。
心配しながらも行動できない自分がもどかしくて。
後悔の海に沈んでいたら、気づけば年が明けていて、三が日も過ぎていた。
部活動参観。
本当は夏休みにあったのに、台風のせいで流れに流れて、こんな正月のすぐあとになってしまった。
その日に俺はやっと、高橋先輩を見ることができた。
あの、終業式の日の姿はなんだったのかと思うほど元気に笑っていて。
誰かと見間違えていたのかもしれないと考えてしまうくらいだった。
それでもやっぱり、前より頬のあたりがシャープになっていて、あれは現実だったんだとわかった。
儚い、という言葉がこれほど似合う人はいないと思った。
ここに本当に存在しているのかと、幻なんじゃないかと。
何度思っただろう。
いつか消えてしまいそうなその腕を、決して離さずに、守りたい。
そう、強く思った。