ため息に、哀


ほんの数十秒前にさかのぼると、俺は部活で3on3をしていた。

味方がシュートを放つ。

リングに弾かれ、落ちてくる。

そのリバウンドボールを取ろうと、スクリーンアウトをして手を伸ばして。


同じようにボールを取ろうとした誰かの肘が、俺の鼻に直撃した。






ちょ、待って。

本当に血が止まらない。

とりあえずコートから出ようとするけど、いろんな感覚が鈍くなっていて、足元がおぼつかない。



「とりあえずティッシュ! あと上向け、上」


手に押し付けられたティッシュをつかんで鼻に押し当てても、すぐに使い物にならなくなる。

引きずられるようにコートを出され、座らされる。


あまりに大量に出血しているせいか、頭がくらくらしてくる。

さらに上を向かされてるもんだから、次第にぐわんぐわんと首がすわっていない新生児みたいに頭が揺れる。


そこで、救世主が現れた。


< 3 / 68 >

この作品をシェア

pagetop