ため息に、哀
この時になってようやく、鼻がとてつもなく痛むことに気がついた。
鼻だけでなく、顔全体がズキズキと痛みを主張する。
まあ、肘が直撃したならしょうがない。
バスケをやってる以上、鼻血や打撲なんて珍しくないから。
そうこうしているうちに、高橋先輩が氷の入ったビニール袋を持って帰ってきた。
氷嚢にその中身と水を入れ、俺に差し出す。
「鼻に当てて。そのうち止まると思うから」
その言葉どおり、あんなに激しかった出血はやっと止まった。
それでも痛みはあまり治まらなかった。
顔についた血が乾いたのか、皮膚がひきつるような感じがする。
「ちょっと見せてね」
そう言って俺の顔を正面から覗きこんだ先輩。
最上級の部品で作られた顔を目の前にして、自分の顔を恥じたくなる。