ため息に、哀

「でも、ごめんなさい。私、好きな人がいるから」


それもまた、わかっていた答えだった。

わかっていて、それでも最後のチャンスに賭けたくて告白したんだから、当然だ。

これ以上近づきたい気持ちがあるのかないのか、特別になりたいのかなりたくないのか、自分の気持ちの矛盾には呆れるけど。




「その好きな人って、須賀先輩ですか」


そんな俺でも、こんなことを訊く資格はあるだろうか。

それでも訊かずにはいられなかった。

俺が告白をしようと決意したのだって、須賀先輩の告白を高橋先輩が断ったと聞いてしまったからだ。



俺の言葉に、先輩は少し驚いたような表情をしたあと、俺の大好きな微笑みをくれた。

答えはなかったけど、そういうことなんだとわかった。

いやむしろ、その笑顔が答えを語っていた。


もういっそこのさい、と俺はさらに質問を重ねた。

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