ため息に、哀
「じゃあどうして須賀先輩と付き合わないんですか?」
高橋先輩は、俺が須賀先輩たちの会話を盗み聞きしてしまったことなんて知らないんだから、この質問はあまりにも唐突すぎただろうか。
どうしてって、そんなことを先輩が俺に答える義務なんかない。
それでも少し困ったように笑いながらも、答えを考える先輩は本当に律義で誠実だと思う。
「私はマネージャーで、小野崎くんや須賀くんは、バスケ部の部員だよね」
当たり前のその言葉に頷く。
「だから、かな。
これは私の個人的な考えだけど、マネージャーと部員は、それ以上近づくべきじゃないと思ってるから。普通にしてるつもりでも、どこかにきっと差が出てくる。それが他のみんなにいい影響を与えるはずがないからね。
マネージャーとしての、部員のみんなに対する礼儀っていうと大袈裟だけど、私はそれが正しいと思うからそうしてるの」
わかりにくくてごめんね、と先輩は言ったけど、俺には十分に伝わってきた。