ため息に、哀

「たしかに私は、みんなの気持ちをすべて理解することはできないかもしれない」


でも高橋先輩は、鋭い目で岡田先輩を睨むように見て、今まで聞いたことのないような低い声で言い放った。



「でも、ただのマネージャーとか、見てるだけなんて言われたくない。
私は、怪我をして悔しい気持ちや絶望は、誰よりも知ってる!」


それだけ叫んで、先輩は走って出ていってしまった。


あとに残された俺たちは誰もその後を追えなかったし、なにか言うこともできなかった。


ただ一人を除いて。




「岡田先輩は、高橋先輩のなにを知ってるっていうんですか! 高橋先輩が、なにも知らないマネージャーだって本気で思ってるんですか?」


それは俺の右隣に座っていた薄だった。

普段は先輩たちを敬って、決して馴れ馴れしさと思慕の境界線を見誤らない薄が。

先輩に対して、声を荒らげて。

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