ため息に、哀
おそるおそる触ってみると、ビリビリとした痛みが走る。
曲がっているかとかはわからないけど、腫れているのは間違いない。
自分がどれだけひどい顔を晒していたかと思うと、恥を越えて落ち込んでくる。
いや、やっぱりマネージャーさんといえども、清純可憐な美少女の前でコレは、立ち直れない…。
「はい」
先輩の優しげな声とともに、目の前に水玉のタオルが差し出された。
反射的に受けとると、それは濡れている。
「顔拭いた方がいいよ。そのタオル、まだ使ってないから大丈夫」
顔を洗いに行きたくても貧血なのか、立ち上がる力が湧いてこない今は、その気遣いが嬉しかった。
これ以上鼻を痛めないように、そっと顔を拭いていて、気づいた。
もしかしてこれ、高橋先輩のタオル?
もしかしなくてもそうだろう。
それを、俺は何の躊躇いもなく受け取って、しかも血で汚れた顔を拭いてしまった。
小野崎潤、なんたる失態!