SOUND
「……あの、もう本当に私帰らなくちゃいけないんでそろそろ帰らせてもらっても……」
「ほらシバちゃん!早く!」
「Σな!なんで俺が…!」
何の話しをしていたのか私にはわからなかったけれど……もういいや。
本当にそろそろ帰らないと……姉が帰って来る前に。
二人に頭を下げて後ろを振り向く。
ほら、空はさっきまで明るい…なんて思ってたのに今じゃあもうとっくに暗い。少し肌寒くもなってきた。
もうこの人達とも会う事はないだろう。
「それじゃあさようなら」
本当に、さよならだ。脚を前に動かす。
「Σあっ…!ちょっ――――」
「――――ッッ!!おい!」
まただ。
あの逃げていた時みたく後ろから同じように声が聞こえる。
ああ、そっか。そりゃ同じか。だって人一緒だもんね。
悪いけれど私はもう待たないよ。これだけのせいで怒られるのは嫌だもん。
走ったせいか、靴擦れしてしまった。そのため歩くたびにズキズキと痛い。
「―――、―――――――!!!」
痛みに気を取られ、そして離れていたから……私は後ろで何を言っていたのか気づかないまま家へと真っ直ぐに帰って行く。
――――今日の夜は静かだね。
そう心に呟きながら。
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