SOUND



「あら、お帰りー梓。遅かったじゃない」


「……ただいま…」


出迎えたのは姉だった。

姉は片手を此方に向けて微笑んでいる。…あー、はいはい。ちゃんと買ってきましたよ。


ビニール袋からチョコレートを取り出して渡す。



「あっ、そうだ梓。どうだった?前のアパート」


「……何が」


「だからこの音よ、この音」


「……………。」



この音、と言うのはきっとバイク音の事だろう。
家の中に入ったって確かにうるさかった。

少しイラッとするが気にしなければ特にどうも思わない。



「お姉ちゃんのいびきよりマシでしょ。」


「なら今日一緒に寝る?」


「うそうそうそうそ、ごめんなさい。」



「そう?ならいいのよ」



そう言って姉はにっこりと、ある意味違う意味で笑った。怖いです。




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