あわ玉キャンディ
「うわっ」
「...っ、すいません」
いきなりエレベーターを飛び出したもんだから、乗ろうとしてた誰かにぶつかってしまって、すぐさま謝る。
俯きながら謝ってしまったからか、チッと舌打ちをされてしまった。
エレベーターは再び、動き出す。
なんでなんだろう―――。
びっくりしすぎて、わけがわからなくて、涙さえも出ない。
信じたくない......、けど。
あれは、確かに霧崎さんだった。
霧崎さんの部屋の真ん前だったし。
あたしが見間違えるはずもない。
.......嫌な夢を見てるみたいだ。
ううん、夢ならまだいい。
でも今は現実で、夢なんかじゃなくて――