あわ玉キャンディ
エントランスホールにやけに響く、ピンヒールの音。
その音はあたしの後ろでピタリと止まる。
嫌な予感が...、する。
「ねぇ、アナタ。藍のなんなの?」
嫌な予感、的中。
さっき霧崎さんとキスしてたのであろう女の人が、あたしに問う。
そう声は大人っぽくて落ち着いていて上品だけど、針みたいに鋭くてあたしを責めるような声色だった。
......結局、あたしは霧崎さんの何なんだろう。
友達でもない。恋人でもない。
やっぱり、答えは出ない――
何も言えずに、あたしは押し黙ってしまった。